トゥウェンテ大学のグループが、インクジェット飛翔中の液滴に対する瞬間的な物性測定を実施しました。この研究成果は、Experiments in fluids (2017)に掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Staat, Hendrik JJ, et al. "Ultrafast imaging method to measure surface tension and viscosity of inkjet-printed droplets in flight." Experiments in fluids 58.1 (2017): 2.
https://link.springer.com/article/10.1007/s00348-016-2284-8
インクジェット飛翔特性や基板着滴後のふるまいを把握する上で、液物性の正確な把握は重要です。
一般的な液物性の計測によって、液の物性を把握することはできますが、この物性は実際のインクジェット飛翔時の特性と異なる場合があります。インクジェット液滴の飛翔過程は、わずか20~30μm程度のノズルから速度10m/s程度で射出される瞬間的に表面を形成し、10^6程度のせん断速度が発生する動的な環境です。特に界面活性剤が含まれる液の場合、界面活性剤分子が界面まで拡散する時間と、液滴の表面形成時間や飛翔時間との兼ね合いで静的な表面張力とインクジェットの動的な表面張力が異なる傾向にあります。
このように、一般的に計測される液物性と動的なインクジェット液滴の液物性は異なることが知られていました。
このような課題に対し、同グループは、飛翔中の液滴(ストロボ撮影画像)の形状振動を解析することにより、飛翔中液滴の粘度と表面張力の計測を行いました。
界面活性剤入りの水を用いた計測を行い、表面張力に関しては静的な計測結果よりも高い表面張力を計測し、粘度に関しては、静的な計測結果に比べて高い液粘度を計測したとのことです。
表面張力の値は、一般的な最大泡圧法による動的表面張力解析結果と同等な結果を確認できたとのことです。
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