Qingdao University of Science and TechnologyとIowa State Universityの研究グループが、タングステンを用いた3D造形技術を開発しました。
この研究成果は、Journal of Micromechanics and Microengineeringに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Hao, L. Ü., et al. "Fabrication of micro-scale radiation shielding structures using tungsten nanoink through electrohydrodynamic inkjet printing." Journal of Micromechanics and Microengineering (2019).
宇宙で使用される電子部品は過酷な放射線環境にさらされており、システムの動作不良を引き起こす可能性があります。このような課題に対し、根本的な解決策の1つは、放射線遮蔽部材としてタングステンを使用することです。
タングステンは、電子部品のシールドおよびX線イメージング用の格子の製造に用いられる非常に効果的な材料です。
ただし、タングステン固有の特性(密度、化学的/熱的不活性、硬度など)により、特に電子デバイスの製造において、材料をマイクロスケールで繊細な構造に加工することが困難でした。
この問題に対処するために、同研究グループは新しいタングステンナノインクを設計し、3Dプリンティングによってタングステンの微細構造を作成するための簡単な製造方法を開発しました。
同グループは、タングステンナノインクと静電インクジェット(電気流体力学的インクジェット e-jet)を用いて造型を行いました。e-jetの印刷により、解像度10 µmまでのさまざまな微細構造がパターン化および製造されています。
駆動条件と材料特性(インクの配合)を最適化することにより、構造の寸法と形態を正確に制御できます。
パターンをより制御可能かつ安定にするために、e-jet印刷プロセス中にAC変調電圧が採用されています。
多層タングステン線は、X線イメージングによって特徴付けられ、X線放射の優れた吸収を示したとのことです。
同じ厚さの印刷線は、バルクタングステンのX線放射のほぼ1/3の吸収率を示し、大幅な放射減衰効果をもたらしました。タングステンナノインクは、e-jet印刷で使用される新しい材料であり、著者の知る限り、文献では報告されて以内とのことです。
この研究は、電子機器用のマイクロナノスケール遮蔽部品の製造と、医療および検査用途向けの放射線撮影における格子およびコリメータのラピッドプロトタイピングの新しい方法論を確立しています。
また、ナノインクとマイクロ/ナノスケールの3D印刷を介して高融点金属を製造するための実用的なガイダンスを提供します。
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