University of Rostock等の研究グループが、ドラッグデリバリーシステム用の新しいハイブリッド積層造形装置を開発しました。
この研究成果は、Pharmaceuticsに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Konasch, Jan, et al. "A Novel Hybrid Additive Manufacturing Process for Drug Delivery Systems with Locally Incorporated Drug Depots." Pharmaceutics 11.12 (2019): 661.
個別の薬物療法は、すべての患者の治療を最適化する大きな可能性を提供します。
しかし、従来の医薬品製造技術では、患者の個性を考慮し患者ごとに最適化することは困難です。
近年、3Dプリンティングとも呼ばれる積層造形(AM)は、このような制限を克服する有益な機会を提供するとして、大きな注目を集めています。
このような背景から、同研究グループは、選択的に組み込まれた薬物を含む薬物送達システム(ドラッグデリバリーシステム、DDS)を作製するための新しいハイブリッド積層造形プロセスを開発しました。
本研究において、DDSマトリックスはステレオリソグラフィー(SLA)によって生成されましたが、薬物デポはインクジェット印刷を使用して注入されています。
最初の研究では、統合されたデポを持つポリ(エチレングリコール)ジアクリレートベースの標本を作製しました。試験液として、青とピンクのインク溶液を使用しています。
さらに、モデル薬物としてクーマシーブルー色素で標識されたウシ血清アルブミンを、DDS内のデポに正常に配置しています。
新しいハイブリッドAMプロセスにより、マトリックス内にいくつかの薬物を互いに独立して配置することができます。
これにより、DDS内のデポのサイズと位置に応じて、薬物の放出プロファイルを調整できます。
この新しいアプローチは、DDSがポリマーマトリックス内で医薬品有効成分(API)の均一な分布を持つ従来のSLAプロセスの課題を克服出来ています。
しかし、このような実証が成功したとしても、具体的なDDSにはまだ長い道のりがあります。
さらなる調査では、PEGDAベース構造の透過、膨潤、および技術的パラメーターを調整するために、架橋を制御できるようにするための材料パラメーターの調整に焦点を合わせます。
光を繰り返し照射すると、組み込まれたAPIの有効性にどのような影響があるかを調査する必要があります。
薬物放出研究は、選択された薬物溶液、ベース材料、および処理パラメーターに依存するDDSからの薬物の時間依存性放出を調査するために必要です。
プロセスのより深い理解は、最終的に、時間制御された薬物放出、複数のAPIを備えた薬物製品、または個々の患者に合わせた特定の医薬品を備えたDDSの開発につながると思われます。
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