Hahn-SchickardとUniversity of Stuttgartの研究グループが、ポリマー表面へのレーザー照射によって局所的な親液パターンを作製しました。
この研究成果は、IEEE Transactions on Components, Packaging and Manufacturing Technologyに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Juric, Daniel, et al. "Laser Irradiation for Improving the Wetting of Nanoparticle Gold Inks for Printed Electronics." IEEE Transactions on Components, Packaging and Manufacturing Technology (2019).
インクジェットやエアロゾルジェットに代表されるデジタル印刷技術は、電子デバイスの製造においてますます興味深いものになっています。
プリンテッドエレクトロニクス技術は、マスクレスおよび非接触プロセスとして、フラット、フレキシブル、または3D基板への機能材料の低コスト堆積の可能性を提供します。プリンテッドエレクトロニクスに使用される一般的なインクは、ナノ粒子金属インクです。銀(Ag)は、その優れた導電性のために広く使用されていますが、金(Au)インクもいくつかの用途で注目されています。
ナノ粒子インクを使用することにより、ポリマーなどの温度に敏感な基板材料に導電パスとセンサーを統合することが可能です。
一方で、ポリマーの多くは撥液性が高く、濡れ性の不良を改善するために、プラズマ処理などの前処理が必要になることがよくあります。
しかし、プラズマ処理は通常、基板表面全体の濡れ挙動を変化させてしまいます。また、プラズマ処理の多くは真空プロセスが必要となるため、既存のプロセスへの実装が困難です。
このような課題から、同研究グループは、ポリマー基板上の印刷箇所に対し、濡れ性の局所改善を目的にレーザー照射を行いました。
この結果、レーザー照射がポリマー表面の改質に有望な手法であり、疎水性ポリマー表面にナノ粒子インクをインクジェット印刷するのに適していることを確認しています。
今回確認された手法は、既存のプロセスに簡単に統合できるため、プリンテッドエレクトロニクスにおいて新たな活用が期待されるとのことです。
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