インド理科大学院のグループが、液体内粒子径の制御によるコーヒーステイン現象の抑制を実証しました。この研究成果は、Applied Physics Letters(2018/5)に掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Bansal, Lalit, et al. "Suppression of coffee ring:(Particle) size matters." Applied Physics Letters 112.21 (2018): 211605.
https://aip.scitation.org/doi/abs/10.1063/1.5034119
コーヒーステイン現象は乾燥過程において溶質が境界部に集まる現象です。
この現象によって塗布した材料の膜均一性が損なわれるため、デバイス作製や色材の塗布など様々な用途において、コーヒーステイン現象は望ましくありません。
コーヒーステイン現象の動画
コーヒーステイン現象の抑制を行う方法は、これまで多く研究されており、溶質濃度の増加や撥液性の増加、コーヒーステイン現象を起こす対流と逆方向となるマランゴニ対流の発生などが対策として報告されています。
同グループは、液内に含まれる粒子サイズを大きくすることでコーヒーステイン現象を抑制できることを実証しました。
液内に含まれる大きいサイズの粒子は、蒸発過程で凝集し、沈降することで均一な堆積を実現するとのことです。
また、均一な堆積物への移行は液内での対流や基板の特性とは無関係であることも確認されたとのことです。
同グループはこの論文内でマイクロスケール、ナノスケールの粒子が乾燥過程においてどのように影響を及ぼすかの理論的な説明を行っています。
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