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糖の添加によるコーヒーステイン現象の抑制

更新日:2019年9月9日

海洋研究開発機構の研究グループが、糖を入れることでコーヒーステイン現象を抑制できることを発表しました。

この研究成果は、Scientific reportsに発表されています。


この記事は下記論文の紹介記事です。

論文:

Shimobayashi, Shunsuke F., Mikiko Tsudome, and Tomo Kurimura. "Suppression of the coffee-ring effect by sugar-assisted depinning of contact line." Scientific reports 8.1 (2018): 17769.



インクジェット印刷は、表面パターン形成のための技術として注目を集めている技術です。インクジェット印刷において課題としてあげられる現象がコーヒーステイン現象です。コーヒーステイン現象とは、乾燥工程において液滴周辺部にリング状の堆積物を形成する現象です。

コーヒーステイン現象が高解像度パターンの製造を妨げるため、均一性の高い粒子コーティングを実現および制御することは、高度で広範な用途において極めて重要なテーマです。


この課題に対し、同グループは甘いコーヒーがリングのようなパターンではなく均一のままに乾燥することに気づきました。



(a)コーヒーの明視野像、左側:砂糖なし、右側:200mMの砂糖を含む、スケールバーは1 cm、(b、c)拡大画像、スケールバー500μm、(d、e)コロイド滴の最終的な堆積の共焦点画像、(d)砂糖なし、(e)スクロース200mM スケールバー500μm  (Scientific Reports HPより)
(a)コーヒーの明視野像、左側:砂糖なし、右側:200mMの砂糖を含む、スケールバーは1 cm、(b、c)拡大画像、スケールバー500μm、(d、e)コロイド滴の最終的な堆積の共焦点画像、(d)砂糖なし、(e)スクロース200mM スケールバー500μm (Scientific Reports HPより)

各糖濃度液の乾燥結果から蒸発沈着物は糖濃度の増加と共に、リング状パターンから均一パターンへと変化することを同グループは確認しました。

また、FIB-SEMシステムを用いた輪郭部付近の乾燥挙動の観察により、液滴の端における高い蒸発速度のために糖が沈殿することで、接触線の脱ピニングを引き起こすことを示唆しているとのことです。


同グループの調査結果は、砂糖を添加することによってコーヒーリング効果を抑制することは、パターン解像度を改善するための費用効果が高く、かつ容易で悪影響のない戦略であることを示しているとのことです。



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