Singapore University of Technology and Designの研究グループが、エアロゾルジェット印刷を紙基板に印刷することで低温焼成を実現する手法を見出しました。
この研究成果は、ResearchGateに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Chen, Yi-Dan, et al. "Aerosol Jet Printing of Conductive Patterns on Paper Substrate."
エアロゾルジェット印刷(AJP)は、プリンテッドエレクトロニクス向けの微小な積層造形において有望な手法です。
しかし、高い導電性の金属構造を実現するためには、高い焼結温度(280°C)と長い焼結時間(たとえば、ガラス基板上で12時間)が必要であり、この課題によりAJPは限られた基板とアプリケーションに限定されていました。
同研究グループは、AJP印刷の基材としてセルロース繊維紙を使用する製造方法を新たに提案しています。
セルロース繊維紙を用いた新しいアプローチにより、焼結温度が80°Cに低下し、焼結時間が220分に短縮されています。
また、印刷された構造物は、0.0203 Ω/□のシート抵抗を持つことができました。この値は、これはバルク銀の導電率(6.30×10^7S / m)に近い10^6S / mを超える導電率に相当します。
同様に、基材への良好な接着性も確認しています。
さらに折り畳みが導電率に及ぼす影響を調べるため、無線電力伝送(WPT)の強結合磁気共鳴(SCMR)の印刷共振器を作製し、機能することを実証しました。提案されている紙ベースのAJPプリントエレクトロニクスは、折り曲げたり、任意の表面に貼り付けることができます。
本研究では、AJPと紙基材の組み合わせにより、低コストで柔軟性のある高解像度のプリンテッドエレクトロニクスの可能性が提示されています。
なお、同グループは、紙基材へのAJP印刷の基礎となる化学物理学を理解するには、さらなる研究を実施する必要があると述べています。
Bình luận