SNanyang Technological Universityのグループが、界面活性剤添加によるUV硬化樹脂の表面凝集とその制御に関する数値解析を行いました。
この研究成果は、Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physicsで発表されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Aphinyan, Suphanat, et al. "Numerical study of surface agglomeration of ultraviolet‐polymeric ink and its control during 3D nano‐inkjet printing process." Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics (2018).
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/polb.24749
インクジェット法を用いた3D造形において、ノズル詰まりを避けることは、高品質なサンプルを作製を行う上で重要です。
インクジェットの液滴が吐出されるノズル部における紫外線硬化樹脂液の凝集は、ノズル詰まりを起こす課題の一つです。
しかし、紫外線硬化樹脂内での凝集は研究されているものの、ノズルの壁面上のインクの表面凝集に関しては、徹底的な研究が行われていませんでした。
このような課題に対し、同グループは界面活性剤が液滴形成中に表面凝集を効果的に制御できるかどうかを調べることに焦点を当てて数値計算を行いました。
多体散逸粒子動力学は選択した数値的方法です。同グループは、約1wt%の少量の界面活性剤が、ノズルの壁面上のインクの堆積を効果的に減少させるのに十分であることを見出し他とのことです。
しかしながら、市販の界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムの特性を利用することにより、その添加によって達成される最大の凝集減少量は推定の60%であることが判明しました。このため、さらなる物理的または化学的解凝集技術が必要であり、これらの他の技術を考慮することによって、表面凝集をほぼ92%まで減少させることができることを本研究では示しています。
最後に、界面活性剤の添加は、インク組成物の全運動エネルギーを改善し、インク内の凝集の可能性を低下させるという追加の利点を有すること、そして、液滴の速度を上げ、液滴の分解時間を短縮し、3D印刷プロセスをスピードアップするのに役立ちとのことです。
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