Qingdao University of Technology のグループが、 クーロン力で液を射出する静電インクジェットの描画線幅を予測する理論モデル構築を行いました。この成果は、 Applied Physics Letters (2018/5)に掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Qian, Lei, Hongbo Lan, and Guangming Zhang. "A theoretical model for predicting the feature size printed by electrohydrodynamic jet printing." Applied Physics Letters 112.20 (2018): 203505. https://aip.scitation.org/doi/full/10.1063/1.5031950
静電インクジェット方式(通称、静電ジェット、E-Jet、Super Inkjetなど)は、電界を利用してノズル先端から小さな液滴を生成し基板に塗布する技術です。
この印刷技術は、使用できる液材料の多様性、印刷解像度の高さ、材料の使用効率の高さ、簡単な操作性など、さまざまなメリットがあるため、微細加工、微細塗布の製造技術の一つとして注目されています。
印刷されるドットや線の幅は、電界や操作速度などのプロセスパラメータ、印刷材料と機材との特性などの実験パラメータによって大きな影響を受けることが、多くの研究者の研究によってわかっています。
しかし、印刷実現可能なサイズに対して実験パラメータの影響を説明する定量的なモデルは確立されていませんでした。
このような課題に対し、この論文では、静電方式によって印刷されたパターンのミクロスケールの印刷サイズを予測するための理論的モデルを提示しています。
論文では、静電方式における印刷方式を、1滴ごと滴下するドロップオンデマンド方式と、連続して液を噴出し続ける印刷方式の2つの方式に対して分解し、各方式に対して印刷されたパターンのサイズを予測するための理論的モデルが開発されています。理論モデルは、体積保存およびエネルギー保存の仮定に基づいて、重要な実験パラメータ(電界等のパラメータ、印刷材料の特性、および基材濡れ性)を用いて構築されています。
提案された理論モデルは、印刷材料と基材の様々な組み合わせにおける実験結果に対して検証されており、理論モデルを用いて印刷品質を合理的に予測することができることを示したとのことです。
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