King Abdullah University of Science and Technology (KAUST)の研究グループが、インクジェット印刷した高周波スイッチを開発しました。
この研究成果は、Advanced Materials Technologiesで発表されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Yang, Shuai, Mohammad Vaseem, and Atif Shamim. "Fully Inkjet‐Printed VO2‐Based Radio‐Frequency Switches for Flexible Reconfigurable Components." Advanced Materials Technologies (2018): 1800276.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/admt.201800276
周波数再設定可能な無線周波数(RF)部品は、無線装置における複数の周波数帯域、ならびに世界中で周波数スペクトル規格が変化していることから、高い需要があります。
上記部品における重要な箇所はスイッチです。しかしながら、市販の高周波スイッチは性能上の制限があり、高価な材料および道具を必要とする複雑な製造方法を伴うとのことです。
この課題に対し、同グループは金属絶縁体転移材料である二酸化バナジウムをインクジェット印刷しスイッチを作製することでコスト低下を試み、開発に成功しました。
研究者らは、特定の結晶配列を持つ二酸化バナジウムナノ粒子を合成して、目的のインクを作成しました。彼らは、熱的にも電気的にもトリガーできる2つの異なるスイッチ構成の印刷に成功しています。
これらのスイッチの性能は、印刷されていないアナログと同等であると同時に、生産コストが数セントとはるかに低コストであったとのことです。
実証実験として、チームはスイッチをフレキシブル基板上に印刷されたチューナブルアンテナに組み込みました。アンテナは、将来5G通信に対応する範囲で働くことを確認しました。また、加熱することで、スイッチはアンテナがWiFiとBluetoothの範囲で動作することを確認しています。
ただし、この実験では最小線幅20 µmであるなど、いくつかの制限があるとのことです。寸法を小さくすることで性能の改善が期待できます。さらに、VO2フィルムの品質もまだ改善の余地があるとのことです。
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