Huazhong University of Science and Technologyの研究グループが、高速焼結可能な銀インクを開発しました。
この研究成果は、Materials & Designに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Li, Junjie, et al. "Conductivity and foldability enhancement of Ag patterns formed by PVAc modified Ag complex inks with low-temperature and rapid sintering." Materials & Design (2019): 108255.
導電性インクの開発は、近年広く注目されています。導電性インクがもたらす利便性、経済性、柔軟性の利点により、プリント回路、ウェアラブルエレクトロニクスなどのさまざまな分野で応用が期待されています。
プリンテッドエレクトロニクス向けの導電性インクの研究分野では、導電性を得る以外に、プロセス温度、プロセス効率、導電率、折り畳み性などに対する高い要件があります。
このような課題に対し、同グループは、PVAc(ポリ酢酸ビニル)で改質した新しいタイプのAg複合導電性インクを提案し、新たに開発したインクを用いて焼結時間の短縮を実現し、導電性と折り畳み性を向上させました。
開発した導電性インクは、Ag前駆体としてシュウ酸銀、錯化剤として1,2-ジアミノプロパン、有機溶媒としてメタノールとイソプロパノール、および結合剤として少量のPVAcを混合することにより製造されました。PVAcを含まないAg複合インクと比較して、改良されたインクは、140°C〜200°Cで2分間高速焼結した後、より優れた焼結微細構造と高い平坦性と密度を示します。また、PVAcの添加は、Ag核生成と微細構造形成の安定性にプラスの効果があることを示しています。
PI(ポリイミド)基板上でPVAc改質Ag複合インクを焼結することにより、180°Cで5.17μΩcmの低い抵抗率と改善された折り畳み特性を実現できることを確認したとのことです。
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