インクジェット法によるMIMコンデンサの作製
- MJ ueno
- 2019年10月21日
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Karlsruhe Institute of Technologyの研究グループが、インクジェット印刷を用いてフレキシブル基板上にセラミック/ポリマー複合誘電体を含むコンデンサを作製しました。
この研究成果は、Scientific reportsに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Mikolajek, Morten, et al. "fabrication and characterization of fully inkjet printed capacitors Based on ceramic/polymer composite Dielectrics on flexible Substrates." Scientific reports 9.1 (2019): 1-13.
スクリーン印刷などの従来の印刷技術と比較して、デジタル技術にはいくつかのメリットがあります。特に、デジタル非接触方法は、基板、材料及び構造設計に関する柔軟性の他にコストと廃棄物削減に関するメリットから、注目されています。各種技術の中でも、インクジェット印刷は2D機能層の製造に関して最も有望な技術です。
コンデンサーや抵抗器などの受動電子部品の多くが、近年インクジェット印刷によって作製が試みられています。
このような背景から、同グループは、誘電体アプリケーション向けのインクジェット印刷によるセラミック/ポリマー複合膜の調製について研究を行いました。同グループは、Ba 0.6 Sr 0.4 TiO 3(BST)は強誘電性セラミックコンポーネントとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)はポリマーコンポーネントとして使用しています。
複合材を使用しているため、高温処理が不要で、柔軟なPET基板の使用が可能とのことです。
インクジェット印刷された複合厚膜の誘電特性を調査するため、金属絶縁体金属(MIM)コンデンサが製造され、特性評価を行いました。
本研究の結果、Ba 0.6 Sr 0.4 TiO 3(BST)はセラミック成分として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)はポリマーとするセラミック/ポリマー複合インクが開発され、複合厚膜の高速ワンステップ製造が可能になりました。
さらに、純粋なポリマーと比較して誘電率の値が改善されます。BSTとPMMAの比率が異なる3つの複合インクを使用して、それぞれ33、50、66 vol%のBSTからなる複合厚膜を製造しました。すべてのインクは、コンデンサーの異なる層間の正確な移行を伴う均質な構造をもたらします。印刷された厚膜の微細構造に加えて、誘電特性は、100 Hz〜200 kHzの周波数範囲にわたるインピーダンス分光法によって特徴付けられました。さらに、誘電率を上げるために、より大きなセラミック粒子サイズの影響を調査しました。プリントコンデンサは、1 kHzで20〜55の誘電率を示しました。最後に、実験結果をさまざまな理論モデルと比較し、評価されました。
異なる複合組成の誘電特性を予測するための異なる理論モデルと比較した結果、Looyengaのモデルと特に良好な一致を示しました。これにより、印刷されたBST / PMMA複合材料の誘電特性の信頼性の高い予測が可能になるとのことです。
この実験的研究は、MIMコンデンサを含む完全にインクジェット印刷されたセラミック/ポリマー複合材料に再現性のある結果をもたらします。
印刷された微細構造と誘電特性との相関関係が実証され、複合インクのインクジェット印刷が完全に印刷された誘電体デバイスの有望な製造方法と期待されるとのことです。
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