Optomec, Inc.の研究グループが、エアロゾルジェットに用いる空気アトマイザーの原理を調査しました。
この研究成果は、arXiv preprint arXiv:2001.04498 (2020)に掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Feng, James Q., et al. "Working mechanism and behavior of Collison nebulizer." arXiv preprint arXiv:2001.04498 (2020).
Collisonネブライザー(およびそのバリエーション)は、粘度が最大1000mPa・sの液体を用いて数ミクロンの微細なエアロゾル液滴を生成するために広く使用されている手法です。
もともとは吸入療法で医療用エアロゾルを製造するために開発された手法であり、現在では積層造形用のAerosol JetR直接描画システムの空気アトマイザーとして重要なコンポーネントとなっています。
膨張する高速ガスジェットが液体をジェットストリームに吸い込む負圧を生成し、液体が続いて吹き付けられことでエアロゾルを生成する動作メカニズムに関して、既に過去の研究により定性的な説明がなされています。しかし、定量分析と詳細な理解は、つい最近まで行われていませんでした。
このような背景から、同研究グループは、ジェット拡張チャネル内の圧縮性ジェット流のOpenFOAMR CFD分析に基づいて、Collisonネブライザーの動作メカニズムの論理的な説明を行いました。
液体吸引メカニズムは、ジェット膨張チャネルの形状を変化させながらCFDの結果を調べることで明らかになりました。
また、出力ミスト密度は液体の粘度の影響を受けにくいことを確認しました。この結果は、Aerosol JetR直接書き込みシステムのCollison型空気アトマイザーを使用した一連の実験で実証されました。
これらの結果を用いて固有の自己調節メカニズムをCollisonネブライザーの設計に組み込みました。さらに実験データは、ジェット膨張チャネルの限られたスペースにおける液体上昇量の限界を示唆しています。
この結果は、霧化させるためのガス流量をいくら増やしても、出力ミスト密度を無限に増やすことは期待できないことを示しています。
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