Chalmers University of Technology および University of Borås のグループが、セルロースナノフィブリルベースのコーティングを繊維物に施すことでインク浸透を制御することに成功したとACS Sustainable Chemistry & Engineeringに発表しました。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Nechyporchuk, Oleksandr, et al. "Cellulose nanofibril-based coatings of woven cotton fabrics for improved inkjet printing with a potential in e-textile manufacturing." ACS Sustainable Chemistry & Engineering 5.6 (2017): 4793-4801.
https://aip.scitation.org/doi/abs/10.1063/1.5028263
ウェアラブルデバイスへの応用から、布などの繊維材質物への導電性回路の印刷は多数試みられています。しかし、印刷したインクは流動性があるため、繊維に沿って浸透しやすいという特徴を持ちます。印刷するインク量が少ない場合は液の流動により断線を招きやすいという課題や、導電性を得るためには大量のインクを塗布する必要があるという課題を抱えています。
この課題に対し、本グループは、セルロースナノフィブリル(CNF)を綿にコーティングすることで解決できることを示しました。CNFは綿と本質的に類似しているため、CNFのコーティングは、綿本来の視覚的外観や機械的特性を維持することが可能とのことです。CNFのコーティングにより、コーティング表面への溶質の堆積を促進し、繊維間への液の浸透を防ぐことが確認されました。これにより、未コーティングの綿への印刷に比べて、少ない塗布量で同様の印刷明度を得られました。
同様に銀ナノインクの印刷においても少ないインク量での導通を得られることを確認できたとのことです。
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