復旦大学 (中国)のグループが、銀ナノワイヤのエアロゾルジェット印刷による透明電極を作製したと Journal of Applied Physics に発表しました。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Tu, Li, et al. "Aerosol jet printed silver nanowire transparent electrode for flexible electronic application." Journal of Applied Physics 123.17 (2018): 174905.
https://aip.scitation.org/doi/abs/10.1063/1.5028263
フレキシブルデバイスに高解像度でかつ透明な電極が求められています。フレキシブルデバイスとして、高い機械的柔軟性や伸縮性、そして透明性および導電性が使用する電子材料に求められています。一般的な電子材料である、導電性ポリマーや金属材料、炭素系材料(カーボンナノチューブやグラフェン)はこれらのすべての要求を同時に満たすことは困難であると知られています。
この複数の要求を満たす材料として期待されている材料が銀ナノワイヤです。
本論文では、 エアロゾルジェット方式を用いた銀ナノワイヤーによる透明電極の印刷について報告しています。
エアロゾルジェット方式は、高解像度、迅速な試作、単純なプロセス、低い製造コスト、および大量生産といった重要なメリットを持つ印刷技術です。この方式では、機能性インクをエアロゾル化して気流にのせ、エアロゾル流を同軸のシースガス流により基板に吹き付けて機能性インクを堆積させる方法です。
この研究では、エアロゾル塗布条件を変更しながら線幅や抵抗率を確認し、最適条件に対して透過率を確認しています。
塗布条件(重ね塗り回数、塗布速度、ノズルサイズ)を調整した結果、最小線幅51μm、シート抵抗値58 Ω/□ となる条件を最適条件として選定しています。
この最適条件における透過率を調査した結果、短波長領域では透過率が高く長波長領域で透過率が低いという結果が得られたとのことです(下図参照)。
今回得られたサンプルの導電率は、既存の透明電極に用いられているITO,PEDOT:PSS,カーボンナノチューブに比べて僅かに高く、透過率も同等または低い。今後の研究において、使用する銀ナノワイヤーの長さや直径、そして濃度の調整により、改善が期待できるとのことです。
#エアロゾルジェット #配線 #フレキシブル
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