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ナノメカニカルセンサにおける受容体物質のセンシング能力への影響

国立研究開発法人物質・材料研究機構のグループが、ナノメカニカルセンサを用いてポルフィン中の金属が各種ガスに対するセンシング能力に及ぼす影響を調べました。この成果は、Sensors(2018/5)掲載されています。

この記事は下記論文の紹介記事です。

論文:

Ngo, Huynh Thien, et al. "Effects of Center Metals in Porphines on Nanomechanical Gas Sensing." Sensors 18.5 (2018): 1640.

http://www.mdpi.com/1424-8220/18/5/1640/htm#sensors-18-01640-f002


五感に代わるセンサーの中でも物理的な刺激に対応したセンサー(視覚、聴覚、触覚)は広範囲の分野で研究及び開発が進められています。一方で、化学反応を用いる味覚や嗅覚を検出するセンサーは、受容体と検体との化学相互作用に関する包括的な知識が少ない現状であるため、以前研究段階です。

特に嗅覚センサーは、複雑な近く機構のため、実用化されていません。

実用的な嗅覚センサーの実現に向けて、高感度、小型、低消費電力などの様々な要求を満たすセンシングプラットフォームが必要です。そのようなプラットフォームとして、同グループによる研究によりナノメカニカルセンサー(MSS)が開発され、様々な研究によりたいような検体を検出可能であることが示されてきました。



図1. (a)膜の側面図の模式図。青色、緑色および赤色の部分は、基板、受容層、および埋め込まれたピエゾ抵抗器にそれぞれ対応する。(b)センサチャネルの概略図。(c)膜型表面応力センサ(MSS)チップの光学顕微鏡画像。(sensorsより)

ナノメカニカルセンサーは、ほとんどの受容体層がガス吸着により機械的変形を起こす特徴を活かし、この変形(応力、ひずみ)をピエゾによって高感度に電気的に読み出すことで検出を行っています。

この受容体材料として最も有望な材料の一つがポルフィリンです。


ポルフィリンを用いたガス検知の基本的なメカニズムを理解し、高度なセンシングプラットフォームを開発するため、周辺置換基の影響を排除して中心金属の重要な役割を明らかにする必要があるとのことです。

そのような背景のもと、ナノメカニカルセンサーの受容体材料としてポルフィンのセンシング特性を調べて報告した研究がこの論文になります。


この研究では、化学センサーとして4チャネルMSSチップを使用し、各チャネルに異なるポルフィン誘導体をインクジェット法によりスポッティングすることでコーティングしています。4種のポルフィリンでコーティングされたMSSチップをチャンバーに入れ、10秒間のサンプルガス注入と10秒間の窒素パージを10サイクル実施することで検出実験をおこなっています。


研究を通して、鉄のポルフィンが高い感度を示すこと、また鉄ポルフィンの高耐湿性を実証しました。加湿条件(70%RH)であっても、19ppmという低濃度のプロピオン酸は、鉄のポルフィンを用いてはっきりと検出することができることを示しました。

本研究は、ポルフィリノイドにおける金属の影響が重要な役割を果たし、人工嗅覚センサシステムの受容体材料を含む先進的な検知用途につながる、将来の調査の参考として使用することができると論文において述べています。


●液体制御装置:(用途:MSSへのポルフィン塗布)

マイクロジェット社

LaboJet500SP




#ピエゾ #インクジェット


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