University of Zagrebの研究グループが、化学焼結と熱焼結を組合わすことで低温焼成可能で高電気伝導率となる銀インクを開発しました。
この研究成果は、Chemical and biochemical engineering quarterlyに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Ivanišević, I., et al. "Combined Chemical and Thermal Sintering for High Conductivity Inkjet-printed Silver Nanoink on Flexible Substrates." Chemical and biochemical engineering quarterly 33.3 (2019): 377-384.
プリンテッドエレクトロニクスで使用される金属インクの多くは、印刷後に焼成することで導電性を発現します。
多くのインクメーカーからプリンテッドエレクトロニクス用の金属インクが提供されており、そのインクを選定する上で重要なパラメータの一つが電気伝導率です。
電気伝導率は、印刷された電子機器の性能を測定する上で重要な要素ですが、インクジェット印刷された銀ナノインクの伝導率は、製造後の焼結に大きく依存することが知られています。
同グループは、化学焼結と熱焼結を組合すことで導電性を得る新たな銀ナノインクを開発し、焼成条件と導電性の影響を評価しました。
まず導電性インクとして、2つの異なるキャッピング剤(ポリアクリル酸(PAA)およびポリメタクリル酸(PMA))で安定化した銀ナノ粒子を含む、2つの異なる導電性銀ナノインクを合成しました。
そして、それらのインクを用いて化学焼結と熱焼結の組み合わせによる導電性の影響を評価しています。
評価の結果、どちらのインクも室温で導電性の特徴を生成し、温度と焼結時間の両方で導電性が増加することを確認しました。
また、100°Cを超える温度では、キャッピング剤の選択は導電率に顕著な影響を与えず、すべての場合でバルク銀の50%という非常に高い値に近づきました。
120℃で180分間焼結した後、最も低い抵抗率(2.24 µΩ cm)が得られたとのことです。
化学焼結と従来の熱焼結を組み合わせることで、低コストでシンプルなプロセスを使用しながら、柔軟性のある基板上に非常に導電性の高い銀電極を製造できたとのことです。
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