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インクジェット法によるアプタマーベースのバイオセンサー作製

更新日:2018年5月10日

New Hampshire大学のグループが、リゾチーム検出のバイオセンサーをインクジェット法により低コストで作製できることをBiosensors 誌に発表しました。

論文:

Khan, Niazul Islam, Alec G. Maddaus, and Edward Song. "A Low-Cost Inkjet-Printed Aptamer-Based Electrochemical Biosensor for the Selective Detection of Lysozyme." Biosensors8.1 (2018): 7.

http://www.mdpi.com/2079-6374/8/1/7


アプタマー(Aptamer)とは、特定の分子と特異的に結合する核酸分子やペプチドです。アプタマーを用いることで、 タンパク質、ペプチド、アミノ酸、薬物、金属イオンなどの広範な分析物の選択的検出に使用することができます。既にアプタマーを用いたバイオセンサーは作製されていますが、 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、水晶微量天秤(QCM)、表面プラズモン共鳴(SPR)、蛍光ベースの光検出など高価で時間がかかる検出方式を使用しています。一方で、安価で高速検出が可能な電気化学的検出は有効なツールであるものの、バイオセンサーの構造において電極上へのアプタマーの固定化が必要であるという課題を抱えていました。この課題をクリアした研究例は複数報告されていましたが、どの方法も複雑な化学反応を必要とし、再現静性が低く大量生産が困難であったとのことです。


このような背景に対し、今回発表された研究では、アプタマーと結合したカーボンナノチューブ(CNT)を分散させたインクをインクジェット印刷することで工程の自動化、量産性、高い生産性を実現したと論文で報告しています。




この研究で作製したリゾチームバイオセンサーは、従来の研究で報告されているバイオセンサーと同等の検出限界(90 ng/mL)を確認したとのことです。また、作製したセンサーの寿命は21日安定稼働することを確認下とのことです。なお、オンデマンドで印刷できる製造方法であるため、そもそも保管時間は最小限に抑えることができると期待されます。


今後は、実際の唾液や血清などのサンプルを用いての調査を進めていく予定とのことです。



使用した装置:

FUJIFILM Dimatix社製DMP-2831 10plヘッド



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