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インクジェット法による2μmを超えるペロブスカイト粒子の作製

桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授のグループが、樹脂基板へのインクジェット法によるペロブスカイト太陽電池の印刷を実現したという報告が日刊工業新聞に掲載されました。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00490537?isReadConfirmed=true


そこで、上記研究と同様にインクジェット法を用いてペロブスカイト太陽電池を印刷した近年の研究報告例を紹介します。


Zhengzhou Universityの研究グループが、インクジェット法を用いることで均質で大きなペロブスカイト太陽電池用のペロブスカイト粒子を作製できることを明らかにしました。

この研究成果は、Nano Energyで発表されています。


この記事は下記論文の紹介記事です。

論文:

Li, Pengwei, et al. "Inkjet manipulated homogeneous large size perovskite grains for efficient and large-area perovskite solar cells." Nano Energy 46 (2018): 203-211.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211285518300600



大面積ペロブスカイト太陽電池(PSC)の性能は、面の均一性や結晶の欠陥有無に依存します。

本グループは、変換効率の良いPSCを得るため、大面積内均一なペロブスカイト膜の実現を目標にインクジェット技術を用いた研究を発表しています。

今回発表された研究では、メソポーラス太陽電池における薄膜ペロブスカイト成長を制御するためのインクジェット制御アプローチが研究されています。



印刷概略図(ScienceDirect HPより)

本研究では基板上のインク滴の濡れ挙動、溶液の物理的性質を系統的に調査することで、インクジェット法を用いた均一な液体膜の生成に成功しています。メソポーラス基板は、前駆体液滴の迅速かつ完全な合体を保証し、前駆体溶液のランダム拡散を制限しています。

均質なPbI2膜はミクロスケールの結晶粒を有するコンパクトなペロブスカイト膜をもたらし、小面積(0.04cm2)で18.64%、大面積(2.02cm2)で17.74%の高い電力変換効率を可能にしたとのことです。

今回得られた高い変換効率は、ペロブスカイト膜形態の改善された均一性、良好なペロブスカイト微結晶配向、大きな粒子サイズ(>2μm)およびより小さな粒界に起因すると考えられるとのことです。


同グループは、インクジェット操作は、電界効果トランジスタ、発光ダイオード、およびセンサデバイスを含む、将来のオプトエレクトロニクスのための大面積および高品質のフィルムを製造する簡単な手法を提供すると主張しています。





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