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シルクフィブロイン溶液を用いたインクジェット法によるバリアメンブレンの作製

シェーフィールド大学(イギリス)のグループが、再生シルクフィブロイン溶液とメタノールをインクジェット法により交互に塗布することで歯科用バリアメンブレンを作製したとMicromachines誌に発表しました。

論文:

Rider, Patrick M., et al. "Reactive Inkjet Printing of Regenerated Silk Fibroin Films for Use as Dental Barrier Membranes." Micromachines 9.2 (2018): 46.

http://www.mdpi.com/2072-666X/9/2/46/htm


バリアメンブレンは、歯周炎によって損傷した骨の修復を助けるために使用される部材です。バリアメンブレンを用いて、骨組織以外の組織の侵入を阻止し、選択的な骨の再生を図る 目的で使用されます。

バリアメンブレンの理想的な特性は、制御可能な分解速度を有する、生体適合性があること、周囲の組織が欠陥空間に崩壊するのを防ぐことなど様々です。しかし、現在市販されているバリアメンブレンは、再吸収不能であり、抽出のために再度外科手術を必要とするといった課題を抱えています。


この課題に対し、本論文では再生シルクフィブロイン溶液を用いてシルクメンブレンの作製を行ったとのことです。なお、シルクは、長らく医療材料として実績がある材料です。


この研究では、シルクメンブレンの作製方法として、再生シルクフィブロイン溶液をインクジェット対応可能な溶液に調整し、インクジェット滴下する方法を用いています。また、再生シルクフィブロイン溶液の塗布と、メタノールの塗布を膜毎に混合することで、混合比率毎によるシルクメンブレンの結晶度具合を制御できることを明らかにしました。




inkjet double
メタノール混合比率によって異なる結晶状態(a)再生シルクフィブロイン溶液:メタノール=100:0 (b)75:25(c)66:34(d)50:50(e)33:67(f)25:75

この論文では、インクジェットプリンタを使用して再生シルクフィブロイン溶液(RSF)を正常に印刷できることを実証しました。2液塗布による反応性インクジェット印刷法を用いることで、RSFの構造的特徴を制御し、結晶性を制御できることを明らかにしました。結晶性の制御は、作製したシルクメンブレンの分解速度の制御を可能にしているとのことです。

この発見は、RSF組織工学構築物を生産手法として、反応性インクジェット印刷法が有効である可能性を示していると本チームは主張しています。



使用した装置:

Microfab社製 JetLab4  80μmノズル、60μmノズル

http://www.microfab.com/complete-systems/jetlab-tabletop



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