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ビスマレイミドベースの3D造形用インクをStratasys社が開発

更新日:2019年9月9日

イスラエルの研究機関であるSoreq Nuclear Research Centerと3DプリンターメーカーであるStratasysの研究グループが、新しい3Dプリンター造形材料として熱硬化性ポリマーであるビスマレイミドベースのインクを開発しました。

この研究成果は、Advanced Materials Technologiesに掲載されています。


この記事は下記論文の紹介記事です。

論文:

Gouzman, Irina, et al. "3D Printing of Bismaleimides: From New Ink Formulation to Printed Thermosetting Polymer Objects." Advanced Materials Technologies (2019): 1900368.


3Dプリンターに代表される積層造形技術は、産業および研究の分野で多くの展開が見込まれる新しい製造パラダイムです。

3Dプリンター技術の一つであるStratasys社のPolyjet3D印刷技術は、UV硬化樹脂をインクジェット印刷し1層ごとUV硬化しながら積層していく技術です。

近年、3D印刷の研究分野は、ハイブリッド材料、高強度ポリマー、生体適合性材料、軽量フォームなど新しい印刷可能な材料の開発を中心に進められてきました。PolyJet印刷技術においても印刷可能材料の拡充は重要なテーマとなります。


このような課題に対し、同グループはPolyjet印刷用のビスマレイミド(BMI)ベースのインク開発と印刷物特性の分析を行いました。

ビスマレイミド(BMI)は、熱硬化性ポリマーです。BMIは、熱的、機械的、および電気的特性が優れており、航空宇宙、自動車、およびエレクトロニクス産業で高い需要がある材料です。




今回開発したBMIベースのインクの物理的およびレオロジー特性は、インクジェット吐出に適していることが証明されたとのことです。

本液を用いて作製した複雑な3Dオブジェクトは、Stratasys社のObjet500 Connex2やStratasysのJ750 3Dシリーズプリンターで印刷されました。印刷後の熱処理は、印刷構造の機械的および熱的安定性を向上させるために重要です。比較的低いガラス転移温度にもかかわらず、約70 ℃で、硬化後の材料は高い熱分解安定性を示し、400℃で重量変化率はわずか5wt%になります。また、芳香族BMI添加剤を少量添加することにより、硬化材料の機械的特性がさらに向上し、曲げヤング率が1.1 GPとなることを確認しました。


印刷された造型物の低誘電率と高絶縁強度および低水分吸収といった特徴は優れており、電子機器、ロボット工学、自動車、航空宇宙、宇宙産業での本材料を使用した3D造形物の用途が広がると同グループは主張します。



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