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両親媒性をもつDNAによるコーヒーステイン現象の抑制

湖南大学のグループが、疎水性染料で修飾されたDNAの両親媒性を制御することによって、コーヒーステイン現象を抑制できる事を実証しました。この研究成果は、Langmuir(2018)掲載されています。


この記事は下記論文の紹介記事です。

論文:

Huang, Chi, et al. "Redefining Molecular Amphipathicity in Reversing the “Coffee-Ring Effect”: Implications for Single Base Mutation Detection." Langmuir (2018).

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.langmuir.8b01248


「コーヒーステイン現象」(代表的な現象動画は下記参照)は、固体表面上に着滴した液滴が乾燥時に溶質の分布によってリング状構造を残す現象です。

この現象は、懸濁した化合物の不均一な堆積を引き起こし、表面支援型バイオセンシングおよび分子自己集合を含む多くのプロセスにおいて課題となります。


コーヒーステイン現象動画


このような課題に対し、同グループは、懸濁した化合物に対し、疎水性染料で修飾されたDNAの両親媒性を制御することによって、コーヒーステイン現象を抑制できることを示しました。


コーヒーステイン
コーヒーステイン現象抑制の概念図(LANGMUIR HPより)

具体的には、DNAに両親媒性分子(比較的疎水性末端および親水性末端を有するもの)を結合させ、コーヒーステイン現象と逆方向の対流を誘発しました。

両親媒性の結合は、液滴の表面張力を低下させ、表面張力差によって発生するマランゴニ流を誘発します。コーヒーステイン現象を引き起こす対流と逆方向にマランゴニ対流が発生することで、コーヒーステイン現象を抑制します。

同グループはニトロセルロース膜上に発生するコーヒーステイン現象を抑制し、作製したバイオセンサーの感度や信頼性の増幅を実証したとのことです。




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